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2006年12月31日 (日)

「硫黄島からの手紙」

今年最後に観た映画は「硫黄島からの手紙」になりました。かなり好評という事で期待しすぎたせいでしょうか?ちょっと肩すかしの感じでした。日米両方の兵士に善悪の区別なく、偏った演出もあまり見られませんでした。その事で戦争自体の非人間性を強調しようとしたところはさすがイーストウッド監督なんですが、そのせいか戦争の本質とは何かという強烈なメッセージが感じられませんでした。例えばキューブリックの名作「突撃」のような戦争の狂気、矛盾、欺瞞等々を台詞なりシーンなりで叩きつけてくるような何かが欠けていました。同じ日本人の立場から観れば、もちろんこの作品を客観視することはなかなか困難な事なのですが、一年間に観る数十本の映画の中の一本と考えればそういうことになります。前作の方が作品としては完成度が高かった気がします。

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2006年12月17日 (日)

「武士の一分」

山田洋次監督、藤沢周平原作の作品も三作目でこれが最終作だそうです。木村拓哉主演と言う事でどんな層を狙ったのか分かりませんが、あのなで肩体形には着物は似合いませんね。演技以前にそのあたりが気になりました。展開があまりに淡々としていて感情移入するポイントがぼけてしまった感があります。もう少し緊迫するかと思った果し合いのシーンもあっけなく終ってしまったような感じで、どうしても一作目の「たそがれ清兵衛」と比較してしまうのがいけないのかもしれませんが、イマイチでした。笹野高史さんが最高の演技でした。主演を完全に喰ってましたね。それと奥さん役の壇れいさんという女優さん、好みのタイプです。でもこの役はどうだったでしょうか?キャスティングが・・・残念。

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「トゥモロー・ワールド」

「トゥモロー・ワールド」今週いっぱいで公開終わり、って事で観に行って参りました。子供が生まれなくなった近未来が舞台で、そこに妊娠した黒人の少女が現れ、その少女を利用しようとする集団から少女を逃がす為、主人公が戦うという話です。特にどうということない話ですが、様々な場面で現実社会の人種差別、階級社会、等々の問題にリンクしているような箇所がありました。市街戦の廃墟のセットが生々しかったですね。「戦場のピアニスト」の廃墟のセットも相当でしたけど、それを思い起こさせる出来でした。赤ちゃんの泣き声が戦闘中の兵士達に戦いを中断させるシーンは秀逸でしたが、他にはあまり観るべきものがありませんでした。やっぱり観客をスクリーンに引きずり込むには謎解きとショッキングな映像が不可欠なんですね。まあそれがあっても駄目な映画は駄目なんですがね・・・。

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2006年12月 4日 (月)

「カポーティ」

カポーティのファンである私には待ちに待ったというか、今まで見損なっていた映画をやっと観た、という感じで結構ドキドキでした。カポーティってあの当時のアメリカの奇人文学界代表って感じで好きなんですよね。ちなみにジャズ界代表はビル・エバンス。実業界代表はジョン・ヒューストンですかね。ハリウッドとその周辺は奇人の巣窟ですね、まったく。「冷血」を書き上げる過程で、その殺人犯を取材し、のめり込んでいく、というか、はまって行く姿を映像化した作品です。とにかく主演のフィリップ・シーモア・ホフマンがそっくりです。「レイ」のジェイミー・フォックスと双璧です。ただ私のイメージの中のカポーティとはちょっと違うかな。私の中のカポーティはローレンス・グローベルのロングインタビュー「カポーティとの対話」(川本三郎訳)の中のカポーティなんですね。あのカポーティの発言を聞いているとホントに冷めた狂人って感じです。この映画の中ではまだ人間性が残っていて苦悩したりウェットな部分もあったりするんですけど、死の二年前に収録されたインタビューでのカポーティはまさに狂人を思わせるものがありました。結局アル中で死ぬんですけどね。つまり、こういう思い入れの強い人の映画って中々客観視できません。今日の結論でした。

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2006年12月 2日 (土)

「時をかける少女」

「時をかける少女」初めて見たのは小学生の頃。確かNHKの夕方にやる少年少女向けドラマシリーズで、SF色が強いミステリーだったと思います。ラベンダーの香りを嗅ぐとタイムトラベルしちゃうんですよね。その後、角川春樹の角川映画で原田知世が主演でアイドル映画っぽく映画化されて、今回も製作は角川ノベルス、角川歴彦という、各々形は違えども私にとっては三回目の「時をかける少女」です。今回はアニメでラベンダー一切無しで結末も全く違って今様になってました。でも何故か切ない。この思いは一体何なのでしょうか?多分それはハイティーンの淡い恋物語がこの作品の根元にあるからだと思いました。男二人と女一人の友達関係から誰と誰が男と女の関係を意識し出すかという展開が良く、加えて今時の高校生もホントにこんな純な感じなの、って疑いたくなるような清々しさでした。こう言うのは実写でやると、どうしても生臭い感じになるけど、アニメにするとスルッと飲み込めてしまうような所があって、こんなアニメのジャンルが過去にもっとあってもよかったのに、何故なかったかと、ちょっと不思議でしたね。アラン・ドロンとジョアンナ・シスカムとリノ・バンチュラの「冒険者たち」を思い出しました。あれよかったなぁ~。

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