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2006年7月 1日 (土)

「バルトの楽園」

「バルトの楽園」観て参りました。マツケン最高!と共に色々考えさせられる作品でした。話は第一次世界大戦中にあった事実を元にしたもので、1914年青島で日本軍の捕虜となったドイツ兵の人権を尊重し寛容な処遇を与えた板東捕虜収容所の所長松江豊寿と地域の住民、ドイツ人捕虜達のヒューマンドラマです。美談です。文化、人種、言葉、又敵味方の壁を超え、お互いが一人の人間として理解し尊重し合う様は心安らぎ、和みます。しかし、この美談となった歴史的事実、言い換えれば良質の天然素材をそのままに調理した、刺身のふな盛りのような印象を受けました。もう少し味付けが欲しかった。松江所長と住民、ドイツ兵達の間が余りに素直にうまく行き過ぎる為(うまく行ってないケースも一部ある)微笑ましく安心して観られるのですが、もう少し両者の間に葛藤があり、それが徐々に氷解していくといった作りにした方が最後の大団円、交響曲第九番歓喜の歌、が生きるのではないでしょうか?ここまでが作品に関する話で、あとは余談。「ある明治人の記録」という本があります。副題として「会津人柴五郎の遺書」と銘打たれてます。この柴五郎という人物は明治維新の時、逆賊となった会津藩の出身者でありながら、その才を買われ、日露戦争でバルチック艦隊壊滅を指揮した秋山真之らと共にアメリカに留学、後には陸軍大将にまでなった人(松江収容所長も会津藩の出身者)です。この本を読むと明治維新の中核として活躍した薩長の人間が会津藩の人々に対し、いかに苛烈な処罰を下したかがよくわかります。同じ民族の間で何故ここまで酷い事が出来たのかと思っておりましたら、其の頃の日本には同じ民族という意識が希薄だったようで、日本人が今のような同じ民族としての感情を持つようになったのは日清戦争以降の事らしいです。余談ついでにもう一つ。第二次世界大戦中インドシナで一人のフランス人が日本軍の捕虜になり、その時の体験をもとに後に映画史に残る二本の映画の原作を書きました。男の名前はピエール.ブール、映画は「戦場にかける橋」そして「猿の惑星」です。

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